2012年6月4日月曜日

小林恭子の英国メディア・ウオッチ : 英国の児童肥満とタブー



 イングランド人のものの見方などについて書いた本Watching the English (by Kate Fox)に、何故天気に関しての会話が多いのか?の説明があった。きっと天気のことを話すのが好きなんだろうなあ、ガーデニングも生活の一部だし、こういう事柄が好きなのだろうと思っていた私は、「会話を作るきっかけ、あなたと話がしたい、あなたに関心を持っていますよ」という意味だという解説を読んで、はっとした。「決して天候のことを話したいからではない」とまで書かれてあった。常識的に考えれば分かるはずだったかもしれないが、気づかなかった。

 今、児童の肥満について(大人もだが)、結構英国では話題に上ることが多い。その中で、特に先ごろ大きく報道されたのが、ある家庭の8歳の太った少年。親が監督できないということで、もしかしたら親と引き離されて特別施設に入れられる可能性もあった。

 最終的には免れたのだが、この少年の生活の様子を見て、驚いた人は多かったに違いない。何と、テーブルについてご飯を食べないのだ。家の中に食卓がないようにも見えた。ソファーに座り、大きな皿を持って食べるのだ。これはテレビ用だけだったのかどうか?そして、父親がおらず、母と兄弟だけ。子供の問題を取り上げる時、結構シングル・マザーの家庭が多いように、メディアだけを見ていると思える。・・・と書くと偏見と思うだろうけれども、この家族に関しては、あきらかに母親が何らかの精神的圧力のために、子供にまともな食事を与えることができないようだった。母親が病気で、母親自身が食卓でご飯を食べないようなのだった。家の中もかなり足の踏み場がない感じで、母親が片づけをすることができない状 況にあることが、自明だった。さらに酷だが、低所得・シングルマザー、教育程度低し・・・という非常につらい状況の家庭なのだった。


ボードルイジアナ管理看護の痛みの状態

 そうすると、誰の目にも明らかなのは、太った子供はとても可哀想なのだけれど、もっと大きな問題は家庭にあって、お母さんがまず幸せにならないと(それは知的刺激かもしれないし、お金かも知れないし、男性のパートナーかもしれない)健康的な食事をとることができない、ということだ。本当にめちゃくちゃな量の食事を子供は取っていて、お母さんは「食べ物を与えると息子が怒るから」といって、テレビカメラになみだ目で語っていた。

 しかし、母親の酷な状況を、メディアは表立っては言えないし、言わない。もっぱら息子が食べる様子をカメラで映し、英国全体の肥満児の問題に広げて話す。政府が家庭内の問題にどこまで踏み越� ��るか、など。英国の大きなタブーは、家庭内のいろいろな問題が、「シングル・マザー、教育程度の低さ、低所得」が大きな要因であると分かっていても、これを言ってはいけないことだ。

 「英国ニュースダイジェスト」に、児童肥満について書いた原稿に言葉を加えた記事を貼り付けたい。

肥満児が急増中
 誰が子供たちを救えるのか?

 英国では、成人ばかりか児童の間でも肥満が増加している。現在ほぼ10人に1人は肥満児の範ちゅうに入るとされる。2月末、8歳で90キロの少年が、その肥満のあまり家庭で栄養的に十分な食生活が与えられていないとされ、母親の元を離れ、特別な施設に保護される一歩手前まで行った。児童にとって肥満は行政介入が起きるほど重要な「病気」であることが浮き彫りになった事件だった。

 イングランド北西部ウオールセンドに住む8歳の少年が、最近、英国中の注目を浴びた。体重90キロのコノー・マックレディー君が、もし親が体重減少のために適切な手段を取れない状態だと認定された場合、行政の手によって母親の元を離れ、ソーシャルワーカーの管理下におかれる可能性が出てきたから� ��った。


うつ病&哲学

 地元市役所は児童法に基づきコノー君の保護に乗り出したのだが、多くの英国民にとって、行政介入が考慮されるほど児童肥満が深刻な問題になったことを示す事件となった。

 コノー君は親の怠慢で同年の児童の4倍もの体重になってしまっただろうか?そうだとしても、果たして行政が、本来は親が面倒を見るべき分野に介入するのは良いことなのかどうかー。

ーコントロールできない親たち

 市役所がコノー君の処遇に関して決定を出す直前、取材に押しかけたテレビクルーは、コノー君が体重を減らすためトランポリンをしたり、ソファーに座りながら、母親のニコラ・マッケワンさんが作ってくれたフライド・ポテト、ベーコン、バター付きパンにむしゃ ぶりつく様子を映し出した。

 コノー君のある日の食事とは、朝食はチョコレートが入ったコーンフレーク、11時のスナックがトーストと七面鳥のハム、昼食がソーセージ、ハンバーガーと大量のフライド・ポテト、夕食はヨークシャー・プディング4枚と肉類で、間食が「ウオーカーズ」のポテトチップ4袋で、20分毎にビスケットや他のスナックだという。

 シングル・マザーのマッケワンさんは、「野菜やフルーツを食べなさいと行っても聞いてくれない。餓死されるわけには行かないから、好きな加工食品を与えている」と語った。レポーターが「このままだとコノー君は死んでしまうわよ」というと、マッケランさんは「分かっているけど・・」と涙ながらに答えた。レポーターの「死んでしまうわよ」というのは、精一� �の抗議、訴えだった。これ以上強くは言えないのだろう。

 「子供をここまでの肥満状態にさせるのは児童虐待の部類に入る」、と児童肥満に関するチャリティー団体「子供成長財団」のタム・フライ会長は述べる。「親の責任が問われるべきだ。犬だってこんな風には扱われない」。


男性のうつ病の中年の危機

 保健省によると、11歳以下の肥満児童は1995年の9・9%から2003年の13・7%に増加。原因は運動不足や高カロリーの食事だ。児童の肥満は心臓病、糖尿病などにつながる可能性が高く、ガンにもかかりやすいと言われている。さらに、肥満のために同級生にいじめられたり、憂うつ感、自尊心の低下、発達の遅れなどにも関連してくる。

 児童の肥満の原因は親の責任だけではなく、栄養分が低く高カロリーの食品を子供を対象に24時間マーケティングする食品会社の責任を批判する声もある。どれほど親が体によい食品を子供に勧めても、お菓子や甘い飲み物への誘惑が強すぎる、というわけである。こういう考えは日本からすると、驚きといっていいだろう� �

 しかし、こうした声を受けて、マースやスニッカーズなどのチョコレート・バーを販売しているマスターフーズ社は、12歳以下の児童向けの広告を行わないという方針を発表している。

 2月末、市役所の児童審議会は、マッケワンさんには「子供のために家族ぐるみで努力する兆候が見られる」とする判断を発表。これでコノー君は母親の元で暮らしていけることになった。児童の肥満をどのように誰が防ぐべきなのか、考えさせられた一件だった。

―肥満メモ

 National Obesity Forumによると、児童の肥満の原因は、肥満を引き起こす遺伝子の影響(まれなケース)、高カロリー、高脂肪分が多い食事、運動不足(徒歩で学校に通う児童の減少、テレビ観賞の増加など)、親が太っている(食事や運動の習慣などに影響)、低社会・経済層に所属することだ。

 何故児童が肥満にかかると困るのか?それは、BBCによると、病気(心臓病、糖尿病、ガンなど)にかかるリスクが増大、高血圧、リューマチ発症傾向が高い、寿命を7年減らす、憂うつ感、睡眠阻害、他の児童からのいじめ、自尊心の低下、身長が伸びにくく、発達が遅れがち、成人後も子供時代の食習慣などが継続するためだという。


 対処方法は、バランスのとれた食事、1週間に5回以上、毎回30分以上の運動、行政や非営利団体などによる支援で家族ぐるみで取り組む。場合によっては、主治医の指導の下で薬品摂取だ。

 肥満を英語でOBESITYという言葉を使うが、これは極端なあるいは病的な肥満を指す。肥満度はBMI(BODY MASS INDEX)(体格指数または肥満度指数)で測る。体重(kg)÷(身長(m)の2乗)。20以下が体重不足、20-25が標準、25-30が体重超過(OVERWEIGHT)、30以上が肥満(数値は調査機関によって若干変わる)。1980年、肥満は女性で8%、男性で6%だったが2004年時点では全体で24%となった。肥満はリューマチ、心臓病、糖尿病などを引き起こす可能性が高い。

 イングランド地方だけで肥満が原因 で亡くなる人は毎年約3万人。国民健康保険サービスは、肥満関連の病気の医療費として毎年5億ポンド(約1兆1千万円)を費やす。医療費も含めての肥満に関わる全費用は約74億ポンド(約160兆円)で、肥満解消が国家的課題の1つになっている。



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