2012年4月15日日曜日

ディスカヴァー社長室blog: あの、怒れる科学者、内部被爆の第一人者児玉龍彦先生と、失われた20年を批判する経済学者金子勝先生が子どもたちと日本の未来のために世に問う! ●干場


あれは、いつのことだったろうか。

3.11後、それまで知らなかったいろいろな科学者の方々をテレビや新聞、書籍でめにするようになった。京大助教の小出さん、NHKの「ネットワークでつくる汚染地図」で知った元理研の岡野博士。。。もちろん、???な発言をする学者もたくさん見た。
ネットでもマスコミでも、原発推進、脱原発、両者から、さまざまな意見が交わされていた。そんななかで、出版社として、「電力危機」や「3.11後の世界の心の守り方」だけでなく、何かもっと発信したいと思っていた。
出版社としてできることはないか?

そうした思いを抱えながら、少しマスコミが静かになった頃のこと。
すでに夏となっていた金曜日の夜、なにげにツイッターを見てみると、さかんにリツイートされているyoutubeがある。で、ふと、リンクをクリックしてみると。...

そこには、「慢心の怒りを込めて」、「国会の怠慢」を訴える科学者の姿があった。
放射能の総量が問題であり、それがとんでもない量になっていること、広島原発の29個分以上になっていること。いろいろな地域での放射能の値。
南相馬に毎週、測定に行くなかでしった、政府のあまりにも無策の現地の状況。
内部被爆のメカニズムと、とくに妊婦や幼児に与えるそのおそろしい影響。

七万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、
 国会はいったい、なにをやってるんですか!!!!

感情も露わに、その言葉で終わった約7分の参考人説明は、それまでテレビで観たどの学者のそれとも違っていた。
原発推進とか反対とか、そういうことではなく、純粋に市民の健康被害を案じる学者の姿があった。スマートなその外見からはちょっと意外なほどの強い口調。


あなたの帽子のイディオムの羽は何を意味する

PV数は、いったいあのとき、いくつだったか?
よく覚えていないが、すでに6桁だったように思う。
(複数の人がYOUTUBEに挙げているが、合計すると、今では100万は軽く超えている。)
リツイートする人々も、すげえーとか、一応に、応援モードである。

いったい、どなたなんだろう?
テロップによると、東京大学先端科学技術研究センター教授兼東京大学アイソトープ総合センター長 児玉龍彦教授とある。
早速ネットで調べると、内部被爆研究の第一人者であることもわかった。
この話を、もっともっと広めたい。ネット、ユーチューブを見ないような人たちにも。お母さまたちにも。
それと、この「熱い」先生にお目にかかりたい!

そう思うとすぐに、サイエンス編集担当のハヤシにメールした。
児玉先生の本を出せないかと。

さっそく土曜日には、返事が来て、先生を知る人にメールを出したが、多分、難しいだろう、とのこと。的を射ない質問やできあがる記事にいらだっているらしい、本など書いている暇があったら、1軒でも1つの滑り台でも1平米でも多く、ボランティアの除染に通いたいとおっしゃって、無理だろうとも。

実は、わたしがそのYOU TUBEにきづいたのは、児玉先生の衆議院労働厚生委員会の参考人説明から、すでに何週間かたっていたということもある。
で、半分、あきらめていたところに、少しして、林のところに、当の児玉先生からメール。ただ1行、その週の土曜日の朝9時から、南相馬の市役所で記者会見をやるとだけ書かれているメールが!

南相馬には、仙台から普通電車と長距離バスを2本乗り継ぐしか、入る方法はなかった。ハヤシは、前日から南相馬に入り、駅から徒歩30分の、風呂トイレ洗面所共同の宿屋に泊まり、記者会見に行った。そして、どうにか名刺だけはお渡ししてきたとのこと。ふーーむ。


PRINCE2は何の略ですか

その後も、ハヤシは、東京で、再び南相馬で、と、そのような状態を2か月ほど続けていた。しつこさに脱帽だ。。。

その間にも、児玉先生が、手弁当で毎週末、マイカーを走らせて南相馬に通い、地元の人の要望など聞きつつ、ボランティアで除染に努めておられる様子が、いくつかのテレビで紹介されていた。

ハヤシのしつこさというか熱意が、先生にもつたわったのかどうか(本人は、ある記者会見で自分が児玉先生にした質問をご評価いただいたと言っている!)、ある日、「高校時代からの友人である金子勝君との共著ならいい」と、構成案を送ってきてくださったというではないか!

金子勝先生なら、テレビでもよく拝見しているし、実は、わたしも以前、講演会を聞きに言って、そのときは、この内容を本に、とお願いして、一蹴された経験がある。ぜひとも、お願いしたいものだ。

と、まあ、そんな経緯で、まさに、ハヤシの根気と根性で、児玉先生と金子先生の対談による本の収録までこぎつけることができた。

金子先生は、3.12の時点でもっともはやく「メルトダウン」の疑いをツイートしたひとりで、それには、かなりの反論が寄せられたようだが、それでも腹をくくってツイートし続けたという。児玉先生の国会での様子をいちはやくYoutubeにアップしたのも彼である。(国会では、彼の情熱的な説明もまるでなかったかのような反応だったそうだが、Youtubeを見た人々からの反応のすさまじさについては、本書をごらんいただきたい。)

実はその後も、ハヤシのほうでは、一難去ってまた一難、といったぐあいに、いろいろ調整事項があったみたいで、それもあって、発行までにちょっと時間がかかってしまった。でも、結果として、先生方にも満足していただき、良いものになっている、と、わたしは親バカ状態で、喜んでいる。


コミュニケーション科学とは何か

ともあれ、国会でのあのお怒りから、ちょっとびくびくしながらわたしもはじめてのお打ち合わせに、指定された丸の内ホテルで同席したが、実際にお目にかかった児玉先生は、外見通りのジェントルマンで、やさしくて、素敵な方。金子勝先生は、同級生と言ってもちょっとお兄様っぽい温厚なご様子。とはいえ、高校時代から、おふたりともいまの激しさは変わらないようで、当時を懐かしく語る様子に、なんだか、ふとうらやましくなった。

ともあれ、こうしてできたのが、この本。

『放射能から子どもの未来を守る」

お二人の切なる思いが込められたタイトルだが、その内容は、放射能と除染にとどまらず、まず、今回の事故とその後の状況をもたらした社会の仕組み、マスコミの問題など、まさに、今の子どもたちがつくることになる日本の未来へむけての多角的名視点からの、リアルなリアルな提言である。

児玉先生のご専門であるコレステロールと放射能についての専門的な話という補足もまた、除染の重要性をつよく裏付けている。

また、年末には、英国でもっとも権威ある科学誌「ネイチャー」が、恒例の今年の10人のなかのひとりとして、児玉先生を選んだというニュースが、ネットを駆け巡った。FUKUSHIMAの世界に与えたインパクトもさることながら、そのなかでも、児玉先生が選ばれたのは、やはり、除染をみずから何十週間も続けていたという実践と、国会でのあの人間味あふれる怒りの参考人説明が、世界の科学者たちの間で話題になったのだろう。

その後、その10人に対する一般のネット投票でも、ずっと、断トツの1位だった(最後の結果は知らないが)。


放射能が心配な人もそうでない人も、子どもの未来が心配な人もそうでない人も、原発推進派の人も反対派の人も、なによりもまず、「お母様方」に読んでいただきたい、子どもの幸せ、健康を第一に願うお母さんたちに、読んでいただきたい、そして、お母さんたちのその声で、日本を変えていってほしい。子どもたちの未来である日本の未来を。そしてそれは、実際にすでに、変わりつつある。

そうしたおふたかたの願いを込めて、どなたにもわかりやすい本となっている。
ぜひ、ご一読いただきたい。

*目次を折り込みました。

はじめに 子どもの未来を放射能から守るために(児玉龍彦)

第1章
メルトダウン なぜ、「ずっと嘘ばかりだった」のか

第2章
安全の基準はどこに? マスコミも学者も信じられない

第3章
浜岡原発の停止と再生可能エネルギー

第四章
セシウム牛はどうして出てきたのか

第五章
子どもたちの未来を守るお母さんたち

補足
コレステロールと放射能についての専門的な話(児玉龍彦)

おわりに  子どもの未来は日本の未来(金子勝)



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